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桜の木の下で

こんにちは。関東在住のFです。早いものでもう3月。今回のテーマは「不動産」ということで、この季節になると思い出す、我が家の不動産購入にまつわるお話をしたいと思います。

 

2019年春、マンションの敷地の満開の桜の木の下で、ランドセルを背負った男の子とそのご家族が記念撮影をしているのを見かけました。これから入学式なのでしょう。喜びに満ちていて、まぶしくて、胸が苦しくなるほどでした。その横を通り過ぎた私と夫は、3歳の息子が入院している病院へ向かうところでした。年末に越してきてから約3か月。毎日家と病院の往復、せっかくマイホームを手に入れたのに近所どころか敷地内すらゆっくり探索する暇もなく、あの木が桜だったことなど咲くまで全く気が付きませんでした。

前の年の6月に、息子が突然発症した50万人にひとりという難病。ICUでの寝たきり生活からのリハビリ、抗がん剤による低免疫下での合併症の発症、転院、手術・・・。そして、恐れていた再発。もう、骨髄移植しか根治する方法はない。そう告げられ、移植に向けての準備を進めていたのでした。あの男の子のように、ランドセルを背負って元気に学校に行く日がくるのだろうか。考えたくもないことが何度も頭によぎりました。

購入するなら、中古マンションを買ってリノベーション!というのは前から決めていました。広さ・立地・価格も希望通りの物件、そして最後の決め手になったのが、バルコニーから新幹線が見えて息子が大喜びしたことでした。そして契約、リノベーションの打ち合わせが始まろうとしていた矢先、息子が病気を発症。入院生活と新居の準備を並行して進めることになってしまいました。

息子の体調が安定している時に面会前の時間を使って打ち合わせを進めました。なかなか治療が上手くいかず入院は長引き、その間にリノベーションが完成し、入居の日が近づいていました。するとちょうど同じタイミングでさらに大きな病院へ転院することが決まり、偶然にも転院先は新居からアクセスしやすく通院に集中できる環境が整ったのは、なんだか導かれたようで不思議でした。

転院してからは移植へ向けて厳しい状況が続いていましたが、いよいよ前処置の日が近づいて来たある日、突然検査の数値が良くなり始めたのです。まるで奇跡のようにそれまで全然効かなかった薬が効き始め、みるみる元気になっていく息子。移植は必要なしとの診断が下され、キャンセルに。そして入院生活トータル1年2か月後、ついに退院の日を迎えました。主のいなかった子供部屋に新しいおもちゃが増え始めました。壁や冷蔵庫にぺたぺたシールが貼られるようになりました。引っ越してきて半年以上経って、ようやく新しい住まいに家族が揃い、家に命が吹き込まれました。

人生の中でも大きなイベントである不動産の購入と同じタイミングでやってきた子供の病気。どちらも乗り越えるのに膨大な労力を要しましたが、全て終わってみると価値観や暮らし方の優先順位ががらっと変化しました。

住まいや暮らしを大切にし、何気ない日常に感謝をし、こうして街クリに出会えたことで会社を辞めて子どもとの時間を大切にしながら働くことができ、お金に余裕ができたわけではないけど、今は豊かで幸せだと感じることができます。

そしてこの春、息子は小学生になります。先日、ぴかぴかのランドセルが届きました。桜が咲いたら、ランドセルを背負って、あの木の下で記念写真を撮る予定です。

最後にマンションから撮影したドクターイエローの写真を。見かけたら幸せになれるとのことなので、みなさんにも良いことがありますように!