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ヒトとAIで「記憶を解凍する」

みなさま、はじめまして。

新米ワーカーのYです。初めてブログを書かせていただきます。

 

関東大震災の発生から100年の今年。

私の住む兵庫県では、28年前の阪神淡路大震災と関東大震災を比較する防災企画展が開かれています。

 

100年前も28年前も同じような形で倒壊した建物、2つの震災の被害を広げた火災を撮影した数々の展示写真。

中でも関東大震災直後の赤い火の手が上がる様子を撮影した写真からは、火災の激しさが生々しく伝わってきて、都市の大災害への備えを改めて考える機会となりました。

 

先ほど「赤い火の手」と書きましたが、100年前の写真を説明するには何だか違和感ある表現ですね。

 

実はこの展示写真、白黒写真をAIがカラー化した写真なのです。

カラー化することによって、迫りくる火の手の広がりの大きさや、現在の火災のニュースを見ているかのような緊迫感が伝わってきたのです。

 

AIによるカラー化といえば、数年前に話題になった「記憶の解凍」プロジェクトの、戦前戦中戦後の国内の様子や人々の暮らしなどを収めた「カラー写真」を思い出します。

 

同プロジェクトでは、AIが自動カラー化した写真を被写体である当事者に見てもらいます。色づけられた写真を見ているうちに、幼い頃の思い出、住んでいた街の様子など古い記憶が次々と呼び起こされていきます。

 

AIは膨大な白黒写真とカラー写真の組み合わせを学習し、白黒写真に塗る最適な色を判断します。

しかしAIが色づけした写真の色が必ずしも当時の様子に忠実なものであるとは限りません。

本当の色は当時そこに居て、実際に見たヒトの記憶の中にあります。

 

既存の資料だけでなく、写真が撮影された当時の話を聞きながら、AIが塗った色を手作業で補正していくことによって、実際に近い色を再現したカラー写真に仕上がります。

 

白黒写真の中で長い間「凍りついていた記憶」は、ヒトの手とAIによる共同作業で「解凍」され、現在に蘇るのです。

 

ヒトの遠い日の記憶の継承をアシストし、過去から現在につなげてくれるAI。

生活を便利にするもの、未来の社会を変えるものとばかり思っていた私の中のAIのイメージが一変しました。

 

ヒトとAIの共同作業で見せてくれる遠く過ぎ去った日々のひとコマ。

昔に起きた出来事も今につながる身近な出来事のように感じられそうです。

 

最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました!