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本と幼馴染と、30年越しのエピソード

こんにちは!関東在住のFです。

昨年、友人と一緒に埼玉県所沢市にある「角川武蔵野ミュージアム」を訪れました。館内にある高さ8m、およそ5万冊の本が収められた「本棚劇場」は、2020年の紅白歌合戦で人気アーティストが歌唱したスポットとしても有名です。隈研吾氏による圧巻の建築デザインや、アーティスティックな本の陳列。独特のカテゴライズでまとめられた本の数々をじっくり見るにはとても一日では足りませんが、あらゆる角度から本の魅力を感じることができ、圧倒されました。

 

一緒に行った友人は、地元九州の小学校からの腐れ縁。小中高を一緒に過ごし、別々の大学に進学したものの、就職してみたら偶然となりの駅にすんでいたり。一時は海外に住んでいた彼女も、気づいたら数年前からまた同じ沿線に住んでいて、すぐに会える距離。なんだかんだまとまってしまう私たちです。コロナが落ち着いてからは、こうして時々一緒に美術館や買い物に出かけたりしています。

彼女は子供の頃から、勉強はできるしクリエイティブな才能もあって、誰に対してもやさしく、自分の意見をはっきり言うことができる素敵な女の子でした。有名大学を院まで卒業し、現在は世界中を飛び回ってエネルギッシュに働いています。

ランチタイムに話題にあがったのは、小学校の卒業アルバムのこと。私たちの卒業アルバムはちょっと変わっていて、個人写真は「将来の夢」のコスプレをして撮る、というものでした。「幼稚園の先生」や「バスの運転手」「ペットトリマー」などみんな張り切って衣装や小物を準備して写真を撮ってもらうのです。(余談ですが「ペットトリマー」の子は愛犬を連れてきていました!)

そんな中、彼女のコスプレは「キャリアウーマン」でした。ジャケットを着て、スケジュール帳を片手に自信満々の笑顔。それは現在の彼女の姿、そのものです。「あれね、先生に最初、『キャリアウーマンなんて、そんな曖昧な夢はだめだ!』って言われたんだ。」と話し始めました。初めて聞くエピソードでした。「『教師とか、お医者さんとか、決まった職業の夢はないの?』って。でも、私が大人になる頃には、今はない職業もきっとたくさんある。何になるのかなんて、今わかるわけないって思ったんだ。でも、ひとつだけ確かなのは、私はバリバリ仕事をしてるってこと。だから、「キャリアウーマン」にしたんだ。」と。

ああ、やっぱりこの子は子どもの頃から賢かったんだな、としみじみ思いました。いつでも手軽に様々な情報を手に入れられる現代の子どもならまだしも、昭和から平成になったばかりの時代の小学生が、まだ見ぬ未来の可能性をこんな風に想像していたことに感銘を受けました。そして、彼女のこの素晴らしい想像の力の源になっていたものは何かと問うと、答えは「本」でした。確かに彼女は本当によく本を読む子でした。小学生の頃は海外の児童文学「やかまし村のこどもたち」などがお気に入りで、見たこともない外国の村の風景、食べたことがない料理の色やにおいなど、想像を膨らませて読んでいたと。知らないことの方が多いということを、本が教えてくれたんだと。

この場所で、この30年越しのエピソードを聞けたことは、この日を「本の素晴らしさ」を体感する素敵な一日にしてくれました。

 

え、私の夢はなんだったか、ですか??

実は、子どもの頃は絵を描くのが大好きだったので「イラストレーター」としてスケッチブックと色鉛筆を抱えて写っています。

あ!!ちょっと違うけど、現在は街クリで「 Illustrator」というソフトを使ってお仕事をしていますよ!こんなお仕事があるなんて当時は想像すらできませんでしたね。でも、たどり着いたこの「将来」が、まあまあ気に入っている現在の私。

本は想像する力を与えてくれるもの、知らないことだらけの世界に飛び出す勇気をくれるもの。子どもだけでなく大人だって、まだまだ未来は続いていくわけですから、ずっと本がくれる力を味方につけていたいものですね。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!